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「日本ぶらりぶらり」

山下清 著  (ちくま文庫)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

子どものころ、日曜の『花王名人劇場』で『裸の大将』を見ると必ず大感動して大泣きしていました。
エンディングの『野に咲く花のように』が流れるころには、明日からまた一週間学校に行かなきゃいけないなんてウソだろ……と心底絶望していたものでした。

ドラマで誰もが知っている山下清は市川市の八幡学園で才能を開花させ、同市の精神科医・式場隆三郎氏によって世に紹介されました。
市川市在住の私としては、市内縁の著名人の中に大好きな清&隆三郎(義理の娘は欧陽菲菲)コンビがいるというのはとても誇らしいです。

山下清は天才画家であるだけではなく、めちゃくちゃ面白い文章を書く人でもあるのですが、その一部がこの『日本ぶらりぶらり』。

山下清の原文は文章の始めから終わりまでを「ので」のフル活用で切らずに続けていく文体であるため、出版されているものには読み易いよう編集が加えられています。
それでも山下清の面白さは充分に伝わってきます。
山下清自身が面白すぎるから、どういう切り出し方をしても面白いのです。

林芙美子の石碑を観に来て、女のルンペンは珍しいから石碑が出来たのだと思ってみたり、ストリップを観に来て、小学生ぐらいの女の子のストリップの方が珍しくて面白いから見たいと思ってみたり……。

林芙美子を侮辱してルンペン呼ばわりしているわけでも、スケベ心で子どものストリップを見たいわけでもなく、まったくの無邪気でそう感じただけというのが可笑しくて可愛らしくて、心が和みます。

これを読むと、作品というものはつくづく技術ではなく感性であると感じます。何を見てどう感じるかが大切なのです。
「自分らしさ」を見つめなおすきっかけにもなるオススメ本です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
  (ナカダヨーコ記ス)